ワインはアルコールなので賞味期限はなく、しっかりと管理すれば年単位で保存することができます。
しかし、雑に保管すればせっかくの風味が失われてしまうことも…。
美味しいワインを本来の味わいで楽しむために、ワインの保管方法についてまとめていきます。
この記事を読むと分かること
- ワインを保管する上で避けたい4つの『天敵』
- 保存期間別のおすすめ保管方法
- しっかり保管しても避けられない『ブショネ』について
結論としては、ワインセラーを用意できるならそれがベスト。
用意できない場合、短期間であれば冷蔵庫でもOKです。

この記事は『未開栓』での保管について解説しています。
『開栓後』での保管については『飲み残したワインも美味しく最後まで!開栓後の保管方法まとめ』にまとめてあります。
ワインセラーについては『【価格別】ワインを美味しく保存するためのワインセラーの選び方とおすすめセラー10選』を参考にしてください。
ワインの天敵は『温度』『乾燥』『直射日光』『振動』
まず、ワインを保管しておく上で知っておきたいこととして、『ワインの天敵』について。
長期保存をする上で避けるべき劣化の原因は主に以下の四つです。
- 温度(高温)
- 乾燥
- 直射日光(光)
- 振動
これらについて詳しく解説していきます。
温度(高温)
ワインの保管に適した温度は、13~15℃前後。
これ以上の温度だとワインの質は低下し、特に30℃以上になると急激に劣化していきます。
つまり、5月~10月の日本で常温保存することは好ましくありません。
逆に温度が低い分には、氷点下で凍らない限りは大幅な劣化は起きません。
しかし熟成スピードが低下してしまうため、長期熟成したいワインであれば加温機能のついたセラーで冬場も13~15℃前後に保つことが理想です。
また、冷蔵庫から頻繁に出し入れするなど短期間に温度が急激に変化することも避けましょう。
乾燥
乾燥するとコルクが収縮・劣化して酸素が入ってしまう…
と言われていましたが、近年の研究ではよほど極端な環境にない限り問題ないとする説が出ています。
とはいえ乾燥させるメリットもないので、長期保管の場合には瓶を横にしてコルクがワインに浸る様にしておいた方が無難です。
逆に湿度が高過ぎた場合にはコルクの表面にカビが発生してしまう場合があります。
ワイン内に繁殖することはないので、そっと拭き取ってあげればOK。
湿度の高い日本においては、湿度問題はそこまで神経質にならなくても大丈夫です。
直射日光(光)
ワインに限らず食品全般に言えることですが、直射日光は何よりも避けるべき要素です。
赤ワインは紫外線をカットする色付きの瓶に入れられていますが、それでも100%カットできる訳ではありませんし、熱は防ぐことができません。
夏場に数日窓辺に置いておいたら、もう飲めたものじゃありません。
蛍光灯などの光もできれば避けたいので、冬場に常温存する際は新聞紙に包むなどの工夫を。
また、少し気にしたいのが店頭に陳列されている間の光です。
回転が良い店で数本しか並べていないなら良いのですが、「それ、いつ棚に並べたの?」という感じの埃被ったワインは避けた方が無難。
しっかり管理している人気店や、専門のオンラインショップの方が安心です。
(あまり気を使っていないところだと倉庫の照明に晒されていることも)
振動
原因は諸説ありますが、振動は確実にワインを劣化させます。
製造工程・運搬時の振動は避けられないものですが、せめて保管時の振動は避けたいところ。
特に長期保存の場合、冷蔵庫のコンプレッサーによる振動・開閉の振動も劣化の原因となってきます。
冷蔵庫は一般的な家庭で1日40~50回程度開け閉めすると言われています。
月に1,500回、年に18,000回…
子供がぶつかった程度の衝撃ではありますが、蓄積されていくと無視できません。
求める保管のレベルやワインのクオリティに合わせて考える
『温度』『乾燥』『直射日光』『振動』を避けるため、理想は『空調により適切に温度・湿度が管理された地下のセラー』です。
しかしワインのために地下のセラーを用意するのは中々難しいので、現実的には市販のワインセラーがベストな選択です。
とはいえ、『明日飲むアルパカワインのために高級ワインセラーを買う』なんていうのはあまりにも非効率。
そこで、ワインの保管に求めるレベルを以下のように分けて、それぞれに適切な保管方法を紹介していきます。
- レベル1:数日以内に飲むデイリーワイン
- レべル2:記念日などに数週間~数ヶ月保管するちょっといいワイン
- レベル3:年単位で保管、熟成させたいワイン
レベル1:数日以内に飲むデイリーワイン
冷蔵庫保管でOK。
コンプレッサーや開け閉めの振動が少し気になりますが、短期間であれば問題ありません。
野菜室に横にして保管しておきましょう。
ただし冷蔵庫保管だと少し冷えすぎるので、飲む少し前に出して適温にしておきましょう。
- 白ワイン:8℃~12℃くらい
- 赤ワイン:14~18℃くらい
ブドウの品種にもよりますが、およそこのくらいが飲み頃です。

レべル2:記念日などに数週間~数ヶ月保管するちょっといいワイン
簡易なものでいいのでセラーがあると○。
秋~春は冷暗所保管でもOK。
「ちょっといいワインをもらったから正月に開けよう」
「結婚記念日にこのワインを」
こんな目的であれば、熟成は考えなくて良いので劣化しないようにだけ気をつければOKです。
秋から春にかけて、最高気温が20度程度の季節であれば光の当たらない涼しい場所で保管しても大丈夫です。
飲む数時間前~前日には冷蔵庫に入れて飲み頃の温度で飲めるようにしておきましょう。
夏場の保管にはワインセラーがあったほうがベター。
用意できない場合は、冷蔵庫の野菜室に横にして保管しましょう。
レベル3:年単位で保管、熟成させたいワイン
ワインセラー必須
熟成を重視する場合は加温機能も検討を
日本の気候で年単位の保管をする場合、やはりワインセラーは合った方が良いです。
冷蔵庫に1年以上入れっぱなしや、夏だけ冷蔵庫…というのはあまりおすすめできません。
冷蔵庫内の温度ムラや開閉による温度変化、振動が無視できないからです。
熟成を重視しない場合は、冷却機能があればOK。
熟成させたい場合は加温機能(冬場に適温まで温める機能)があるものを選ぶとGOOD。
コルクが原因の劣化『ブショネ』
保存状態による劣化のほかに、コルクが原因で起きる『ブショネ』という劣化があります。
これは、コルク中の細菌と消毒に使う塩素が反応して発生するTCA(トリクロロアニソル)という物質がワインを劣化、悪臭を発生させてしまうものです。
近年では技術の進歩で少しずつ減ってきてはいますが、それでも全ワインの約5%に発生してしまうと言われています。
どんなに丁寧に保存をしても、どんなに高級ワインでも製造工程でTCAが発生してしまうとブショネは避けられません。
ブショネを減らすために積極的にスクリューキャップなどを採用する生産者もいるほど。
テイスティングの主な目的の一つは『ブショネが発生していないか』をソムリエと一緒に確認することなんです。
ブショネの匂いは強弱ありますが、明らかに不快な臭いなので初めて嗅いでも「あ、なんかヘンだ」と気づくはず。
『湿った段ボールの匂い』にも例えられるその匂い、ワインを飲んでいればいつかは出会ってしまうでしょう…。
まとめ
- ワイン劣化の原因は『温度』『乾燥』『直射日光』『振動』。夏場の常温放置は絶対にNG
- デイリーワイン:冷蔵庫でOK
- 数ヶ月保存:できればワインセラー、夏以外は冷暗所でもOK。
- 1年以上の保存:ワインセラー必須
- 気をつけても避けられない『ブショネ』がある
これらの店を意識して、しっかり保存して頂ければ幸いです。
美味しいワインは美味しく飲みたいですね!

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