ワインは好きだけど、名前やラベルを見てもどんな味か分からない…
そんな時、ワインに使われているブドウの品種を知っておくと、およその味を推測することができます。
もちろん産地や醸造方法によっても味わいは変わるのですが、
「カベルネ・ソーヴィニヨンは力強く、ピノ・ノワールは優しい味わい…」
といったように最低限の基礎を抑えておけば、「思ってたのと違った」というのを減らせるはず。
一般的にワインに使われるのは数十品種ありますが、この記事では超・代表的な9品種に絞って紹介していきます。
この記事のポイント
- 赤ワインの代表的な品種は『カベルネ・ソーヴィニヨン』など5種類
- 白ワインの代表的な品種は『シャルドネ』など4種類
- それぞれの品種の味の特徴を抑えれば、飲む前に何となく味のイメージができるようになる

赤ワインの品種
カベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)
【ぶどうの特徴】
小さな粒と分厚い皮と大きな種のぶどうで、食べようとすると、ほとんど食べる果肉がないくらいです。
その分、ワインにすると色が濃く、強い渋味(タンニン)を持つ、しっかりと骨格のある味わいに仕上がります。
特筆すべきは、ワイン用ぶどうとしてのポテンシャルの高さで、世界中のどこで作っても品質の高いワインが生まれる超優等生。
だからこそ、世界で最も栽培されるワイン用ぶどうとなっています。
【味わいの特徴】
小さくて黒い果皮の果実(カシスなど)を思わせる凝縮した果実味と、針葉樹やミントなどに例えられる少しスッとする清涼感のある植物系のフレーバーがあります。
それによって、凝縮感がありながら、上品さも併せ持つワインとなります。酸もタンニンも強めで、ガッチリとした構造を感じる味わいです。
出典:サントリー
【よく合う食材】
牛肉や仔羊肉など、しっかりと噛む赤身肉と好相性です。調理法はローストやステーキなど、焼きがおすすめです。
出典:サントリー

メルロー(Merlot)
【ぶどうの特徴】
中程度の大きさの粒と大きめの房を持ちます。早熟で糖が上がりやすいので、果実味たっぷりで豊満な味わいに仕上がります。
樹勢が強く、病気に強く、多産であり、さらに産地をあまり選ばない(どこでつくっても良いぶどうが取れる)ため、世界中で人気があります。
早熟のためカベルネ・ソーヴィニヨンよりも寒いエリアでも完熟する事が出来ます。
【味わいの特徴】
プラムやブラックチェリーなどを連想させる、肉厚な果肉を持つ濃い色の果実の香りや、甘いスパイスのタッチ。
低めの酸と、包み込むような豊かな果実味、やわらかなタンニンなど、まろやかで豊満な味わいが特徴です。
カベルネ一族の中では、最も植物系のフレーバーが少なく、果実味中心の親しみやすい味わいです。
渋い赤ワインを飲み慣れない方でも親しみやすいぶどうの一つと言えます。
出典:サントリー
【よく合う食材】
肉汁があふれてくるようなやわらかなお肉が合います。煮込みなど、ふっくらとした質感の料理がワインを活かします。
出典:サントリー

ピノ・ノワール(Pinot Noir)
【ぶどうの特徴】
粒はそれ程小さくなく、比較的皮は薄め。
ワインの色合いは明るめで、繊細な味わいと華やかで妖艶な香りのワインに仕上がります。
ぶどう品種としてのポテンシャルはとても高いのですが、皮が薄いために病気に弱く、栽培が難しい品種です。
また、繊細な味わいと香りが特長のぶどうのため、ぶどうが一気に成熟する暑い産地ではその味わいの特長を失いやすく、現在のところ世界で成功している産地は少なめです。
【味わいの特徴】
色とりどりのベリーやチェリーを思わせる、小さくて柔らかな果実味と、バラの花などを連想させる(お花畑と言われる事も)華やかさ、スパイスや皮製品などのとても複雑で素晴らしい香りを持ちます。
比較的タンニンは少なく、酸はしっかりめで、繊細な味わいのワインとなります。
出典:サントリー
【よく合う食材】
鴨肉、鶏肉など、鳥系のキメ細かくて繊細な肉質のお肉がおすすめです。
出典:サントリー

シラー(Syrah)
【ぶどうの特徴】
小粒で濃厚な色調でぶ厚い皮を持つ、色素の多いぶどうです。
タンニンは中庸の強さで、酸は強め。
色は濃いめでなめらかでコクのある果実味が特長の味わいに仕上がります。
しっかりとした個性を主張するぶどうで、世界中で栽培面積が増加中です。
【味わいの特徴】
原産地であるフランス・ローヌ地方とオーストラリアが2大産地で、それぞれ異なった味わいを生みます。
よく「スパイシー」という言葉で表現される、特徴的な黒胡椒の香りは、ローヌ地方で特に強くあらわれます。
それに対してオーストラリアでは熟した果実味が前面に出るスタイルになります。
「スパイシー」から「濃い」という連想になり、渋くて強いぶどうと思われがちですが、実際は骨格はしっかりしながら、滑らかなタンニンを持つ上品な味わいです。
出典:サントリー
【よく合う食材】
鹿肉・鴨肉などの血の香りのするジビエのお肉と好相性です。 黒胡椒をきかせたり、香ばしくローストするのがおすすめです。
出典:サントリー

マスカット・ベーリーA(Muscat Bailey A)
【ぶどうの特徴】
房と粒は大きく、皮は薄めです。
皮の裏側に色素が多くあり、破砕の時点で色が結構出ますが、色素量自体が多いわけではないので、ワインの色調は明るくなります。
【味わいの特徴】
いちごを連想させる赤い果実の香りに、イチゴキャンディーや綿菓子などの砂糖を熱した時に出る甘い香り。
少し湿り気のある根菜やシダ植物のニュアンスを感じるのが、湿気の多い日本のぶどうらしくて面白いところです。
フレッシュでピチピチした果実味と、意外に鋭い酸味、とても軽いタンニンが特徴で、フルーティーという言葉がピッタリの味わいです。
出典:サントリー
【よく合う食材】
鶏肉や脂ののった白身魚との相性が抜群です。根菜や醤油との相性も良好です。焼鳥(特にタレ)もバッチリ。
出典:サントリー

白ワインの品種
シャルドネ(Chardonnay)
【ぶどうの特徴】
小さめの円筒形房と薄めの果皮の小粒の実が特徴です。
早熟で、寒冷地にも適合することから、世界中のあらゆる産地で栽培されています。
【味わいの特徴】
元々ぶどう品種としての個性的な風味が少なく、あまり味わいの特徴のないぶどうです。
その分だけ、育った土地の気候風土や、つくり手の採用する醸造技術・道具などの影響を強く味わいに反映させます。
涼しい産地でステンレスタンクで醸造・熟成されたシャープでスッキリとしたタイプから、温かな産地で樽で発酵・熟成されたリッチでコクのあるタイプまで、産地や醸造方法によって、驚く程に多彩な表情を見せるぶどうです。
また、独自の風味は少ないものの、「果実味」、「酸味」、「構造の強さ」といったワイン用ぶどうとしての基本の能力は全て非常に高く、どのような味わいにつくっても美味しいワインになる、大変ポテンシャルの高いぶどうです。
出典:サントリー
【よく合う食材】
ワインのタイプによって合う食材は変化します。強いぶどうなので、魚介類だけでなく、豚や鶏肉も◎。樽熟成したものはクリームやバターを使ったお料理に。
出典:サントリー

ソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)
【ぶどうの特徴】
ソーヴィニヨン・ブランの語源はフランス語の「ソヴァージュ(野生的な)」から来たと言われ、早熟で樹勢の強いぶどうです。
小さめの房と小さな実が特徴です。フレッシュな酸が命のぶどうなので、基本的に冷涼な産地で活きるタイプです。
【味わいの特徴】
イキイキとしたフレッシュな酸味と、弾けるような鮮やかな果実味の、「爽やか」という言葉がピッタリの味わいを生むぶどうです。
出典:サントリー
【よく合う食材】
軽めの白身魚やサーモン、緑の野菜類と好相性です。お料理にハーブやレモンを使うと、より相性が良くなります。
出典:サントリー

リースリング(Riesling)
【ぶどうの特徴】
小粒の実と小さな房が特徴です。非常に耐寒性が強く、冷涼な地域で良さを発揮する品種です。
ワイン用の白ぶどうとしては最も高いポテンシャルを持つ品種の一つで、ある程度収量を多くしても、なお高品質のワインを生み出す事が出来ます。
【味わいの特徴】
辛口~甘口までのあらゆるタイプの甘さで最高品質のワインを生むぶどうです。
全てのタイプの味わいに共通して、鋼のような硬さのある鋭い酸と、透明感あふれる引き締まった果実味、カチッとした厳しさが感じられるのが、この品種の特徴といえます。
特に甘口の場合は、この鋭い酸が残糖分とバランスを取って、軽やかで繊細な、他のぶどう品種にはないスタイルの甘口を生み出します。 緊張感のある高貴な味わいが、リースリングの真骨頂と言えます。
出典:サントリー
【よく合う食材】
クセのない白身魚や豚肉が好相性です。ワインが透明感のある味わいなので、素材を活かす味付けがおすすめです。
出典:サントリー

甲州(Koshu)
【ぶどうの特徴】
白ぶどうですが、果皮はやや紫がかったピンク色をしています。果皮は厚めで、樹勢が強く、病気に強い品種です。
湿気の多い日本の気候においても、あまり病気にならずに生育する事が出来ます。
晩熟の品種で、糖度はヨーロッパ系の品種と比較するとあまり上がらないため、穏やかな味わいのワインになります。
【味わいの特徴】
和の柑橘や梨、日本酒や甘酒、みりんなど、やはり「和」を感じさせる要素を強く感じるのが特徴です。
味わい自体は穏やかで、アルコールなども控えめ。
軽やかでスッキリとした味わいである事が多いです。
後味に少し苦味・渋味が残るのもこの品種の特徴です。
醸造方法によっても味わいは変わりますが、現在の甲州の主流は「シュール・リー」と言われる製法でつくられる、スッキリした中にも旨味のある辛口タイプです。
他には樽で熟成した厚みのあるタイプや、早く収穫する事で柑橘系の香りを強く出したタイプ、果皮と一緒に仕込む事で複雑さを出したグリタイプ、伝統的なやや甘口のタイプなど多彩な製法があります。
出典:サントリー
【よく合う食材】
あらゆる和食と鉄板の相性を誇ります。特に魚介と相性が良く、他のワインが敬遠する魚卵や発酵系の食材とも合せる事が出来ます。
出典:サントリー

まとめ
赤ワイン品種- カベルネ・ソーヴィニヨン:『味も渋みも力強い、最もメジャーなブドウ』
- メルロー:『マイルドな味わいで、赤ワインが苦手な人でも飲みやすい』
- ピノ・ノワール:『香り高く、繊細な味わい』
- シラー:『スパイシー(仏)』『力強くもバランスが良い(豪)』
- マスカット・ベーリーA:『フルーティーで優しい国産ブドウ』
白ワイン品種
- シャルドネ:『七変化するが総じてバランスの取れた味わい』
- ソーヴィニヨン・ブラン:『爽やかで酸味がある』
- リースリング:『花のような香りと鋭い酸味』
- 甲州:『すっきりとして軽やかな国産ブドウ』
以上9品種、それぞれの特徴を意識しながら味わって、自分好みの品種を見つけてみましょう!

ですが、最初は『赤はメルロー』『白はソーヴィニヨン・ブラン』から始めるのがおすすめです!